2017年2月19日日曜日

ボリショイ・バレエのコッペリア

暇な時にタマに書くブログを謳ったものの、本当にそうなってしまいました。暇が作れない一ヵ月でした。
言い訳程度の投稿です。

YouTube で国立ボリショイ劇場バレエ団のコッペリアが丸々

自分の PC にダウンロードして字幕を付けました。YouTubeはここ (Ctrl+クリックで別タブで開きます。HD再生まで時間がかかるので注意 ←著作権侵害アップロードとして削除されました。2017.2.28)

それでも、今回のコッペリアは、抽象性の高い振り付けでなくて、①人の仕草が表情豊かでリアルで、②音楽の動機と動作が無駄なく一致し、③言い手が「言う」と聞き手が「確かめる」の掛け合いが多くあるため、実は予めの知識や字幕なしでも理解できてしまうというものでした。

字幕を付けながら次々見ていくと、登場人物のキャラクターが実際にいる(私の周辺にも)人たちとダブ付いて面白くてたまりません。抜群の振付でした。

ストーリー

「鐘の祭り」の前の日の夜、人形作りのコッペリウスが飲みに出た際、家の鍵を落としてしまいます。その鍵を拾った主人公スワニルダと村娘たちは、コッペリウスの家に侵入するのですが、そこにコッペリウスが帰宅します。村娘は逃げ出しますが、スワニルダは室内に隠れます。

ところが同じ時、コッペリウスの娘(実は機械人形)のコッペリアに一目ぼれしたスワニルダの婚約者フランツはコッペウスの家に忍び込み、コッペリウスに捕まってしまいます。コッペリウスはフランツの命をコッペリア(実はコッペリアに化けたスワニルダ)に移して生命を与えようとします。スワニルダはコッペリウスを、散々弄び、懲らしめ、コッペリアが人形だと分かったフランツと逃げ出します。

「鐘の祭り」の当日、二人は仲直りして、結婚のための祝いの持参金を受け取ります。

フランツ

キチンと婚約者がいながら、すぐ他の女性に目を奪われてしまう男。心まで奪われてしまうという不心得者だが、自分(ブログ素人)はそこまででないと思いながら、ついつい「誰でもそんなところあるわなぁ」とも思ってしまいます。「これでは、ついには尻に敷かれてしまうわなぁ」とも。

 
(1幕)心ある者に聞こえるはずの音が聞こえないフランツ   (2幕前)コッペリアに「夜這い」をかけるフランツ

スワニルダ

才気あふれる少女。化粧のせいか、決して「優美」な女性ではありません。それが、素直でやんちゃで勝気なキャラクターとマッチしてその行動に納得させられてしまいます。彼女のような好奇心旺盛で恐れを知らない若者に憧れてしまいます。スワニルダは、怒りを素直に感じて腹を立てるし、それでも自分の側の対応を次から次ぎに考え出し、すぐ切り替えていつも元気です。それに、ダンスが上手いのに感心(役者:ナターリャ・オシポワ)。

 
(1幕)コッペリアの2階の部屋の前で踊る(挨拶)   (2幕)コッペリアに成り済まし、本を投げ付ける

コッペリウス

極めて優秀な技術者といったところ。どうも、自分の作った機械仕掛けの人形、コッペリアを娘のように愛しているようです。原作「砂男」の主人公に、「恐怖」と狂気を与える砂男(精神分析的な去勢コンプレックス+父親コンプレックス)をダブらせる妄想的コッペリウスと違って、スワニルダにまんまと騙されてしまう善良な変人でした。結婚する婚約者たちに領主が持参金を贈るシーンでは、多くの他の振り付け(や幕間の説明)とちがって、領主に裁判を申し入れるのでなく、とぼとぼと通り過ぎるだけでした。

 
(1幕)コッペリアを人間と間違えるのを見て、ご満悦   (2幕)スワニルダに剣で脅かされるコッペリウス

8人の村娘たち

コッペリウスの家に押し入る際、反対したり尻込みしながら結局は押し入り、入った後も機械人形の音楽が鳴ると踊り出す、何といっていいのか「怖れを知らない」「滑稽な」「ハチャメチャな」娘たちに惹かれながら見てしまいます。

 
(2幕前)言い訳しながらコッペリウスの家におし入る   (2幕)音楽が鳴ると他人の家の中でもダンス

群舞やバリアシオン

切れのよい、表情豊かなダンス

1幕

 
スワニルダのワルツ   マズルカ
 
 
スラブの舞曲による変奏曲   チャルダーシュ

2幕(物語り展開の中でのダンス)

 
自動人形の音楽   人形のワルツ
 
 
ボレロ   ジーク

3幕(エンターテイメント性高く、アクロバティックなダンスがふんだん)

 
時の踊り   夜明け
 
 
祈り   仕事の踊り
 
 
結婚の踊り   平和の踊り
 
 
祭りの踊り   フランツのパ・スル
 
 
スワニルダのパ・スル   終曲のギャロップから(スワニルダの水平ジャンプ)